これはチャキさんの話ではなくて
私の話。
2018年。
子育ての方針にも
2018年がどんな年だったか綴りましたが
もうひとつ、決着をつけたいことがあって、
心療内科に向かった。
子育てをしていると、よく耳にする「発達障害」。
その話や特徴を聞くたびに、「これは私のことではないか?」と思うようになった。
チャキさんについては
マイペースではあるけれど
大人がフォローできる範囲だし
おそらく私が子供の頃より
ずっとずっと器用でよく考えている感じがする。
もう私は子ども時代に戻ることはできないけど、
母から常々
鈍臭い、要領が悪い、人の気持ちがわからない、感謝の気持ちが足りない
と、叱咤されていたのだから、
発達障害だったのではないか?
そう思うようになった。
そして、
それでも私は、
鈍臭くても私は、
生きていて大丈夫だったのだ、と
なにか第3者の
お墨付きが欲しかったのだ。
小学校時代のある夏休み。
東京で仕事のある父を除いては、
夏休みは母の実家である八戸で過ごすことが多かった。
八戸に行く前に夏休みの宿題を終わらせなさいとか、
具体的な指示は忘れたけれど
とにかく夏休みの宿題を早く終わらせるように、母から急かされていた。
私は、特に大嫌いだった教科「道徳」のドリルが面倒で面倒で
そのドリルは、夏休みの宿題だけど、
終わったら親が丸付けをするライトなものだった。
私は、早く終わらせたくて
最後についている答えを、丸写しした。
丸付けをし始めた母が、
不自然に全問正解していることを不思議に思い
カンニングは、すぐにバレた。
すると母は烈火の如く怒り出し、
お前がこんなにできるはずがない!
お前がこんなにできるはずがない!
お前がこんなにできるはずがない!!!!
母はそう叫びながら、私の手を
何度も和裁の細い竹製の物差しで打ち続けた。
全部消して
もう一度
やり直せ!!
怒りの静まらない母は
消しゴムで消している最中の私の手を
なんども物差しで打った。
八戸に到着してからも
そのカンニングの出来事を、
ネチネチとずっと親戚にしゃべり倒す。
何度も何度もしゃべり倒す。
ずるいところは父親そっくり。
悪いことはみんなお前の父の血だ。
親戚が
「もうそのぐらいにしてやりなよ・・・」
と、言い出すほど、しつこく喋り続けた。
私は、おばあちゃんちの部屋の角で
早くこの嵐が過ぎ去るように
小さく三角座りして縮んでいた。
道徳の教科書にも書いてあったよね。
「○○君は、今どんな気持ちでしょうか?」
さっぱりわからない。
その人が、今、本当にどんな気持ちか、だなんて。
もしかしたら、その人本人だって、自分の気持ちがわからないのかもしれない。
鈍臭い、要領が悪い、人の気持ちがわからない、私に
母が突きつけてきたのと同じように、
道徳の教科書も、
同じ難問を突きつけてくるのだ。
お母さん
私が、どんな気持ちか
あなたは知っているのですか?
このシーンは
20代前半まで
時折夢にみてうなされた。
優しそうな心療内科の先生は、
私の子供時代のこと、母のこと、父のこと、家族のことを、
それはそれは細かく聞いた。淡々とひたすら聞いた。
ときおり顔を歪めながら
話を聞いてくださる姿になんとなく安堵した。
ああ、これは他人が聞いてもひどいところがある話なのだな、と。
そして先生は、静かに言った。
「あなたとお話ししている限り、発達障害のようには見受けられないけれど
検査を受けることで得意、不得意など特性や適正がわかることもあるし
納得できるのなら、やってみましょう」
それから、
約4ヶ月かけて、検査を行った。
検査は、3割負担で ¥4,380- 。
自宅で一人で行う
PFスタディ® (絵画欲求不満テスト)
SCT 精研式 文章完成法テスト
臨床心理士が行うWAIS-Ⅲなどがあり
かなりボリュームがあるので
4回に分けて行った。
臨床心理士の女性の先生も
それはそれは静かに淡々と、テストを行った。
その静けさが、安心できるものだった。
全ての検査を終え・・・。
結果。
先生は、静かに言った。
「あなたは、数字の能力が少し苦手ではあるけれど
他のことについては、どちらかというと全体的に中より上ですよ」
・・・。
なんだ、なんだ。
私は、道徳のドリルなんかできなくったって
他にもできることがあるじゃないか。
そうか、そうか。
ホッとすると同時に
同じくらいの悲しさも押し寄せてくる。
私が忘れないように、ここに残しておこう。
得意分野
・どのようなことが社会において望ましく、正しいとされているのか、よく理解し、身についている。
・TPOに合わせた振る舞いをすることに長けている。
・一方で、慎重になるあまり、自分自身が疲れたり、他者の評価が気になったり、取り越し苦労をすることがあるかも。
・日常生活では少し力を抜いたり時間を置いて対応することで、負担が軽くなる。
・視空間認知が得意。立体的なものを把握したり、創作したりすることに長け、正確に素早く把握・創作できる。
・語彙力や抽象的思考、文章作成能力など、言語を操ることが得意である。他者に自分の考えや気持ちを伝える際に力になる一方で、自分の気持ちを抑える傾向が強いことでうまくこの能力が発揮されないことも。
難しさを覚える可能性
・様々な刺激に対して敏感で、感受性やクリエイティブな発想が豊かな一方で、不安感を覚えやすい傾向。
・特に自分にとって苦手な場面では、強い不安感、苛立ちを覚えたり、細かいことが気になったり、人に頼りたい気持ちが強くなったりする。
・気になった細かい情報からネガティブな連想が広がりやすい。
・芸術的な用言を用いて気持ちを表現することが得意、そうした作業で心の安定がはかりやすいと予測される。
・完璧さを求める傾向がある。
・与えられた課題に、真摯に取り組み、完成度の高いものを仕上げたり、ストイックな姿勢は強みでもある。
・その反面、心身の負担が強くなったり、うまくいかないことばかりに目が向いて自己評価が下がる。
・頑張りすぎて空回りすることも。うまくいかないことではなく、自分ができていることを見つめる。
・数字的な能力を必要とする課題が苦手。電卓などをうまく用いる。
・口頭で複雑な指示を受ける課題が苦手。言われたことを忘れたり、
聞き間違えたりするので、理解に時間がかかることも。
・すぐメモをとるなどして工夫する。
今回の検査で、
「私はやっぱり絵を描いていていいのだ」
という安心感も得られた。
うん。
よかったんじゃないの?
なんでもやってみる価値があるね。
心の痛みは、決して消えない。
しかし、未来は
キラキラでツヤツヤで
ムキズなのだ。
人は皆、時間が限られている。
どんな気持ちで過ごしたとしても。
よし!やってやろうじゃないの!